【門川質問】
本市の文化財行政は、平成31年に文化財保護法が改正されたことを踏まえ、昨年度の機構改革により教育委員会から市長部局に移管し、およそ1年半が経過しました。
市の観光施策等を視野に入れ、文化財を積極的に活用した取組を行うとのことでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止により、観光やにぎわいなど様々な制約がある中、なかなか発揮しにくい面もあるかと思いますが、移管後の新しい取組や今後の予定について、お尋ねいたします。
【答弁】
市長部局へ移管後の新しい取組についてですが、整備中の特別史跡百済寺跡に、全国的にも珍しい透過パネルを設置したほか、本市と隣接する京都山城地域の12の市町村で構成する観光地域づくり法人お茶の京都DMOが主催する日帰りツアーに協力いたしました。これは百済寺跡や近隣市を巡るもので、本市観光ボランティアガイドを含め連携、協力して取り組み、また、市内大学と共にICTを活用した百済寺跡の復元研究など、観光施策を視野に入れて、広域連携による文化財の活用、展開を図ってきたところです。
今年度における取組といたしましては、総合文化芸術センターで初公開となる遺物を含む文化財特別展や、枚方宿地区との共同企画による枚方宿まちかど文化財展の開催を予定しております。また、スポーツや里山保全・活用の観点も踏まえた文化財巡りウオーキングなどを検討していく考えです。
なお、移管後の文化財行政の在り方につきましては、本市の文化財保護審議会におきまして、文化財の保全に配慮しながら活用と理解促進に力を注ぐことを確認し、各委員から様々な事業提案をお聞きしているところです。
【門川質問】
文化財行政については、観光にぎわい部に移管されたことで、部署内の連携を含め取組を進めていただきたいと思います。
また、市史の編さんについてですが、昨年発売された椿井文書についての書籍がヒットし、NHKのテレビ番組でも取り上げられました。昨年5月の京都新聞の記事によりますと、椿井文書とは、江戸時代後期に山城国相楽郡椿井村、現在の京都府木津川市の有力農民である椿井政隆氏が作成した文書の総称で、山城や近江、河内、大和などで、武家につながる家系だと示したい豪農や、山の支配権争いなどに関わり、歴史的な正当性を与えるために多くの文書を創作したとのことです。
偽書について是非を問うということではなく、偽文書が生まれるに至る背景も含め、新たな地域の歴史という認識で受け止めた次第でありますが、同書には、『枚方市史』を編さんした際にも、椿井文書を根拠にして記載した部分があると指摘されており、私のところにも市民の方から問合せがありました。
このように、椿井文書が偽文書であると広く公表される中、本市としてどのように対応されるのか、市の見解をお尋ねいたします。
【答弁】
市史編さん業務における椿井文書への対応についてですが、歴史学の分野におきましては、数多くの学者がそれぞれの研究を発表、公開し、活発な議論や検証が行われていると認識しております。椿井文書に限らず、歴史研究は日々進んでおり、将来、本市で新たに『枚方市史』を発行する場合は、専門家で構成する枚方市史編纂委員会において編集を検討していただくことになります。
なお、市史資料室では、枚方の歴史に関する最新の研究論文などを収録した『枚方市史年報』を毎年発行するとともに、行政資料も含め枚方に関係する資料の収集、整理、閲覧のほか、市民等からの問合せに対応しているところです。
【門川意見・要望】
椿井文書についての市の見解は一定理解しました。
新たな市史を編さんすることはなかなか難しいことかもしれませんが、『枚方市史』完結後30年以上が経過した中、この間の記録を残していくことも必要ですし、本市の歴史について新たな研究成果が分かった場合は、市民に分かりやすく知っていただけるよう、刊行物の発行やホームページの活用を進めていただいてはいかがでしょうか。
また、観光にぎわい部に移ってきた経緯も踏まえ、まちづくりに生かしていく形での取組を要望いたします。
さて、先日、市史資料室で収集している写真等を活用し、地元の社会福祉法人がスーパーマーケットの空きスペースで開催した展示を見させていただきました。このような身近な歴史を伝えていく市民や事業所の活動にも注目しながら、文化財行政の推進を図っていただくことも大切ですし、学校教育部と連携して、小・中学生に配付されたタブレットを活用した、地域の歴史を子どもたちに伝えていくことにも取り組んでいただきますよう要望いたします。