7月25日、日本維新の会大阪府枚方市支部と大阪維新の会枚方市議会議員団と共同で「今後の枚方市の支援教育についての緊急要望書」を、枚方市の伏見隆市長と枚方市教育委員会の尾川正洋教育長に提出し、意見交換を行いました。
枚方市教育委員会は、本年4月27日付けで文部科学省から発出された「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」の通知を受け、5月16日付けで各学校を通じて保護者あてにお知らせ文書を配布しました。
この文部科学省からの通知によると「特別支援学級に在籍している児童生徒については、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において授業を行うこと」とされており、これまで「最低1日1時間は支援学級にて授業を実施すること」としてきた枚方市の運用からは、大きな変更となります。
しかし、枚方市教育委員会の今回の対応は、この様な大きな変更にも関わらず、十分に議論を尽くし、しっかりとした方針を定めることもなく、また学校現場においても運用変更への理解が進まない中で、拙速に学校や保護者等に対して内容が不十分な文書を配布し、現場や保護者、そして当事者である子どもたちに不安を与え、大きな混乱を招きました。
その後、6月28日と7月2日の2回、保護者説明会が開催され、私も6月28日に参加してきましたが、保護者の方々から様々な疑問や課題、要望が噴出し、説明がまだ足りていないことが明らかでありました。
そんな中で7月には来年度における子どもたちの「学びの場」について保護者に選択を求めていますが、保護者や子どもたちにとって適切な選択ができるのか疑問が残るところです。
今回の支援教育の運用変更に関しては、枚方市教育委員会の対応があまりにもお粗末であり、見通しが甘かったことから、現場の教員や保護者、子ども達に大きな混乱が生じました。
保護者から私たちのもとに寄せられた疑問点や課題、意見交換などを通じていただいたご意見をもとに、今後の本市の支援教育について、要望書を作成し、提出いたしました。
支援教育の運用変更については保護者のみなさまに寄り添い、丁寧な対応を進めていく必要があると考えております。ご意見などいただけますと幸いです。
【要望書の内容】
1.新たな運用に移行するに当たっては、保護者の思いや児童生徒の個別の教育的ニーズに対応して、経過措置を設けるなど、柔軟な運用とし、それぞれの保護者から一定の理解を得た上で段階的に実施すること。
2.新たな運用に完全移行するまでに、経過措置を設定する場合は、支援学級及び通級指導教室の教員の負担増が見込まれることから、人員の確保も含め教員のサポート体制の充実を図ること。
3.来年度からの「学びの場」を選択する保護者懇談が、十分な理解が進んでいない中で行われたことから、まずは保護者に対して十分な説明を行うこと。その上で、2学期に改めて懇談を実施するとともに、第3の選択肢として「現状のまま」を設定するなど、保護者や子どもに再選択の機会を提供すること。
4.来年度の小学校に入学する児童及び中学校へ進学する生徒については、教育委員会だけでなく庁内関係部署を通じて、十分な情報提供を行うとともに、丁寧な相談対応を行うなど、不安を解消し新たな運用への移行に対しての理解が進むよう努めること。
5.今回の運用変更に対する理解や認識が、各学校や各教員によって必ずしも一致しておらず、保護者に対して誤った説明や異なった説明をしていたことが、混乱を招いた原因のひとつでもある。そこで、保護者に正確な情報を提供できるよう、教育委員会に専用の相談窓口を設置するとともに、学校現場に対しても、この夏休み中に説明会や研修会を開催し、教育委員会との認識の共有や制度の理解が十分に進むよう努めること。
6.子どもたちの教育的ニーズに対応した適切な個別の教育支援計画を作成できるよう、ICTを活用した教育ソフトの導入など、財政面も含めて支援教育の充実を図ること。
7.通常学級での学習環境をより充実させるため、食事、排泄、教室の移動補助等学校における日常生活動作の介助や、発達障害の児童生徒に対し学習活動上のサポートを行うために配置されている「特別支援教育支援員」について増員を図り、適切な配置に努めること。
8.通級指導教室の全校設置及び教育環境の充実を図るとともに、現在支援学級に在籍する重度の肢体不自由者に対しても、引き続き適切な支援を行うこと。
9.支援学級及び通級指導教室については、専門性の高い教員の配置が必要となることから、より高度な知識と経験を身につけるための研修制度を構築するなど、専門人材の育成を図ること。
10.新たな運用に移行するに当たり、これまでの本市における支援教育についての課題や問題点を検証するとともに、新たな運用によって改善される点を明らかにするなど、本市の支援教育について総括し、市民への周知と理解の促進を図ること。